扇言葉 さながら おうぎことばさながら
一あおぎ 空を舞い ひとあおぎそらをまい
明日の詩は 生まれ来る あすのしはうまれくる
君の手の 住み処より きみのてのすみかより
翼折る 伝令か つばさおるでんれいか
もしそれが 彼ならば もしそれがかれならば
君の背に はためくは きみのせにはためくは
映し出す 鏡なり うつしだすかがみなり
澄みわたる その中で すみわたるそのなかで
ひらひらと 追われては ひらひらとおわれては
沈み行く 灰のみが しずみゆくはいのみが
我が心 くもらせる わがこころくもらせる
絶え間なく 君の手に たえまなくきみのてに
いつもごと 行き返る いつもごとゆきかえる
「もう一つの扇」 Éventail de Mademoiselle Mallarmé
投稿者訳
投稿者訳
夢見人 君ゆえに
ひたる清き喜び
知れよかし 巧みなる 絵空事
我が翼 君の手に 委ねたり
黄昏のそよ風は
打ち打ちて 君に寄せ
囚われの一煽り
世の果てを一揺るぎ
目眩 空気震わせ
燃ゆる抱擁のごと
空しくも生まれつつ
遂げられも消えもせで
天国は寄り難し
笑みこぼる 口の端
忍びつつ 滑り込む
打ち揃う襞の奧
金の夕陽によどむ
ばらの岸の王杖
然有りとて 君の打つ
腕飾りは きらめく
白き飛翔 閉ざして (10音)