眼は
あふれる泉
だがそれは どこから来たのか
一番 遠くよりもっと向こうから
一番 下よりずっと下方から
私は別の世界を飲んだらしい
眼差とは何か
言葉より鋭い槍
ある過剰から 別の過剰への ストローク
一番 奥底から 最も遠い遙かなものへと
一番 暗いものから 最も透き通ったものへと
梟のように
ああ あの牧歌を もう一度聴きたい
草原の奧から立ち上る
そこには素直な羊飼いたちがいた
ただ曇ったあの杯のために
ただ曇ったあの杯のために
口をあてても何も飲めないが
ただ瑞々しい一房の葡萄のために
この煌めき さてはビーナス!
もう甘んじてはいられない
時の速さで飛ぶこと
このように じっと待つことを 信じたい
「雨燕」
日中の 喧噪の時
生に うろたえる時
麦わらすれすれに
舞い飛ぶ
三日月の 鎌たち
突然 高みで 何もかもが叫ぶ
耳には 到底たどりつけない 高みで
陽光の甘やかな熱の中で
それは微かなざわめきにすぎない
( 舗道を歩くヒールのような鎚音 )
風に 遠ざけられた
山も 積み藁にしか見えないあたりの
ああ、彼女は終に燃え上がる
地に落ちていく琥珀と
リュートのしきり板と ともに Oiseaux fleurs et fruits Philippe Jaccottet
"L'encre serait de l'ombre" Gallimard 2011 p.143
0 件のコメント:
コメントを投稿