2013年9月7日土曜日

「鳥 花 果実」2. Jaccottet


☆(燃える夕景)

ばら色の 空気を破って燃えさかるもの
あるいは 不意に はぎ取るように
あるいは 不断に 遠のくように

夜を 圧し広げながら
山は その二つの斜面に二つ
涙の 源を 培う




(通過)

夜も 終に お仕舞いとなれば
彼の息吹が 立ち起こり
まずは 蝋燭が一本 かき消された

早起き鳥たちを前にして
誰がまだ眠らずにいられよう?
河を渡る風なら 知っている

この炎 遡る涙のような
渡し守への 銀の月


☆(朝陽)

ばら色に染まる鷺が
地平線に 炎の道を描く

頑丈な樫の群生に
その名のりを 消していく八頭

渇いた火 秘やかな声     

駆け足と 息と





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