☆(燃える夕景)
ばら色の 空気を破って燃えさかるもの
あるいは 不意に はぎ取るように
あるいは 不断に 遠のくように
夜を 圧し広げながら
山は その二つの斜面に二つ
涙の 源を 培う
☆(通過)
夜も 終に お仕舞いとなれば
彼の息吹が 立ち起こり
まずは 蝋燭が一本 かき消された
早起き鳥たちを前にして
誰がまだ眠らずにいられよう?
河を渡る風なら 知っている
この炎 遡る涙のような
渡し守への 銀の月
☆(朝陽)
ばら色に染まる鷺が
地平線に 炎の道を描く
頑丈な樫の群生に
その名のりを 消していく八頭
渇いた火 秘やかな声
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